昔は海外旅行でネットを使うのはかなり大変だったんだよ。

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「無事バンコク空港に到着しました。これからタクシーに乗ってホテルに向かいます」

なんて事の無い、日常的なメッセージをインターネットのTwitterでもFecebookでもブログでもいい、海外に着いて書き込む事が本当に楽になったと思う。

日本の携帯電話やスマートフォンを海外に持って行けば特別な手続きも必要とせずにネットが使えるのだ。

海外ローミングをオンにする必要はあるが、たったそれだけで日本の携帯電話が簡単に現地の電話会社と接続されネットも使えてしまう。

ただし電話を着信する時にも日本でなら必要の無い着信料が必要だったり、ネットも高額なパケット料金が必要だがお金だけで解決してしまうのだ便利になったとしか言えない。

ただそれもここ数年の話で、おいらが初めてタイを訪れた時には電話のローミングはあったが、ネットのローミングは始まっていなくてインターネットを使いたい場合は街中にあったインターネットカフェのような店で使うか、電話回線を使ってモデムで接続するかだった。

一部の高級ホテルでは有線のLAN回線が客室に用意してあってノートパソコンに接続してネットを使える所もあったが、その利用料はとても利用する気にもならない程高額だった覚えがある。

当時、タイのインターネット速度は恐ろしいほど遅く、インターネットカフェでもアナログ回線程度のスピードしか出ないし、不特定多数が利用するインターネットカフェでログインが必要なサービスを利用するのは気が引ける。

それでも海外でネットを自由に使ってみたいという衝動に駆られておいらはノートパソコンとモデムをタイに持ち込んだ。

モデムがあればホテルの電話回線を使ってアナログでプロバイダーに接続出来る。しかし日本のプロバイダーに国際電話でダイアルアップすれば接続はおそらく可能だと思うが通話料金が恐ろしい事になってしまう。現地のプロバイダーを利用できれば現地の安い通話料金で接続が可能だろうが現地のプロバイダーを契約できる訳でも無い。

それではどうするか?

ちゃんとダイアルアップの時代でも日本のプロバイダーが海外のプロバイダーとのローミング契約はあったのだ。

残念な事においらが使っていたプロバイダーには海外ローミングなどと言う便利なサービスは無かったが、友人が使っていたプロバイダーには海外ローミングサービスが存在したので、ちょいとアカウントを借りて使ってみる。

ノートパソコンにモデムカードを挿し、ホテルの電話回線と接続する。プロバイダーの説明に通りに現地のダイアルアップ番号を入力して、ローミング用のIDとパスワードで接続を試みるといともアッサリとインターネットに接続された。

速度は28.8kpb。モデムは56k対応だったがホテルの回線ではそれが精一杯だった。

早速mixiのトップページを開く、ブラウザのタイトルはすぐに表示されたがメインのページが読み込まれるのに時間がかかる。遅い、すごく遅い。それでも少しずつではあるが画像も表示された。
日記の画面を開き、書き込む。

「今、バンコクのホテルです。」

よくわからない達成感で満たされた。意味も無くメールをチェックする。知り合いからのメールには「今、海外なので帰国しましたら改めてご連絡します」と返信する。

自分がちょっと格好良く思える瞬間だったが、通話料の事も考えすぐにネットを切断する。一転格好悪いおいらに戻ってしまう。

あれから数年、本当に海外でのネット利用は簡単になった。

再びタイの空港に降りたったおいらはポケットから取り出したiPhoneの電源を入れ、Twitterのアプリを立ち上げて書き込む。

「無事にバンコクに到着しました」